創造理工学部 環境資源工学科 Department of Resources and Environmental Engineering

 かつて地球は人類にとって無限の大きさをもっていましたが、今や人類は地球に深刻な影響を与える存在へと大きく変貌しました。現代の都市生活を支えているエネルギー・鉱物資源は、地球46億年の歴史の中で地殻に濃縮・生成されたものですが、このままのペースで人類が消費し続ければ、近い将来、天然資源の枯渇問題に直面することは疑う余地がありません。また、人類活動の結果として、地球は温暖化、砂漠化、海水面上昇、異常気象、森林破壊、生物種の絶滅、オゾン層破壊、有害物質による汚染など多くの環境問題にみまわれることになりました。

 迫り来る資源・環境問題に関する危機を回避するための技術・方策を確立することは、人類に課せられた緊急かつ重大なテーマです。自然からの恩恵である有限な資源を適切かつ効率的に利用するには、資源の消費を削減するとともに、人工的な資源循環システムを構築することが不可欠です。そして、そのシステムは自然環境と調和した持続的なものでなくてはなりません。環境資源工学科は、「自然環境と調和した循環システム」の創造を目指しています。

環境調和型資源循環システムの創造
学科の特色

 環境資源工学科は、旧理工学部14学科のうち、機械、電気の両学科についで採鉱冶金学科として1909年に創設されました。当学科も時代とともに変遷を重ね、1998年に資源工学科から環境資源工学科に改称して現在に至っています。この間,当学科は鉱業、石油、素材などの関連企業に多くの優秀な人材を送り出し、高い評価を受けてきました。2007年4月から、旧理工学部は「基幹理工学部」、「創造理工学部」、「先進理工学部」の3つの学部に再編され、環境資源工学科は「創造理工学部」の一員として新たな第一歩を踏み出しました。

都市大気中の微粒子を採取している様子 都市大気中の微粒子を採取している様子
(写真奥)新規開発した太陽電池駆動小型自動雨水採取機
ため池の底質サンプル採取風景 ため池の底質サンプル採取風景

 環境資源工学科では、21世紀の人類に課せられた最重要課題である「環境問題」と「資源問題」の解決を目指して、先端的な教育・研究活動に取り組んでいます。例えば、大気・水・土壌・森林の環境診断と保全対策、作業環境の評価と対策技術の開発、廃水・排ガス処理、環境調和型資源リサイクリング、天然資源・廃棄物資源からの新素材開発、石油・天然ガス・地熱などのエネルギー資源・鉱物資源の探査・開発、地下構造の解明による自然災害の予測と軽減、地下空間の有効利用,石造文化財の保存・修復などです。地球の有限な資源量や環境容量を考えると、これからは地球を一つの有限なシステムとして理解し、地球環境と調和した資源循環システムを創造することが重要です。環境資源工学科では、資源工学を基盤としながら、資源循環型社会の構築と地域・地球規模での環境保全を視野に入れた教育・研究を展開しています。

アブダビ沖油田 アブダビ沖油田
専門分野

 環境資源工学科には、次の6つの専門分野があります。

資源科学分野:資源の探査・開発、鉱物資源の処理・加工に関連して鉱物や岩石に関する基礎研究を行っています。また、岩石学・鉱物学の応用として、石造文化財をはじめとする石材の劣化機構の解明と劣化評価法に関する研究、未利用原料鉱物や産業廃棄物・副次生成物の改質と新規素材化に関する研究を行っています。

地殻情報工学分野:天然資源の効率的な利用や地殻環境保全のためには、地殻環境の実態の解明と継続的なモニタリングが必要です。天然資源の探査・開発、地殻変動、土木・建設部門や軟弱地盤の防災問題、廃棄物の地層処分や炭酸ガスの地下固定、地下水・土壌汚染をはじめとする地盤環境問題の研究を行います。

開発環境工学分野:環境破壊を最小にするには、クリーンなエネルギーを使用することです。本部門は、石油、二酸化炭素排出量の少ない天然ガス、再生可能な地熱、メタンハイドレートの開発などの研究を行います。さらに、こうした化石燃料から発生する二酸化炭素の地下固定、原子力エネルギーがもたらす放射性物質の地下処理法を研究します。

資源循環工学分野:天然資源や廃棄物の有効活用には、有用成分と不用成分の分離と効率的な輸送が必要です。こうした分離・輸送技術の高度化をベースに、資源の流れの最適化と、資源有効利用における環境負荷の最小化(環境調和型リサイクリング)が本分野の主テーマです。

素材プロセス工学分野:金属素材、無機機能素材は生産活動の基となる重要な物質資源であります。近年、地球の環境保全、エネルギー有効利用の観点から、チタン、シリコン、マグネシウム、銅、亜鉛等の金属素材の需要、用途に増大に対応し、世界的に、より効率的な新製造プロセスの研究が活発になってきており、本研究室では、新プロセスの開発、既存プロセスの改善に向けた基礎研究、物理化学的、プロセス工学的な研究を行っています。さらに、これらの製造プロセスに用いられる各種の技術、学問を応用して、無機系機能材料の製造、特性評価に関する研究等も行っております。

環境保全工学分野:大気環境工学分野と大気・水圏環境化学分野からなります。環境安全工学分野では、粉じん、アスベスト、揮発性有機化合物など有害因子の計測、評価、低減技術について研究しています。大気・水圏環境化学分野では、環境汚染物質の地球表層における循環過程と環境影響評価,森林生態系の化学健康診断、太陽光を利用した環境保全技術の開発など、大気・水・森林環境の診断と保全対策に関する研究に取り組んでいます。また、地球大気の化学的恒常性調整システムの解明も目指しています。

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