VOL.3

環境問題を様々な角度から学び、
解明したい。

Profile

院生
駒場 啓祐さん

環境資源工学科
修士1年生 大河内研究室

環境問題を様々な角度から学び、
解明したい

高校生の時、家族旅行で北海道の知床半島に行った際に、すごく自然豊かな場所で、沿道に鹿や熊などの動物たちが当たり前のように暮らしている景色に、「自然と人間の共生、共存」している場所があることに驚きました。都会で暮らしている私にとって、そこは何か別世界のように感じました。

また、高校1年生の時に環境資源工学科のオープンキャンパスに参加し、雲をつくる実験や、静電選別機、渦電流選別機という、分別したりする、分離技術を見せていただきました。今まで環境といえば、「自然と人間」という考え方だったものが、環境って一言でいっても、「自然」だけではなく、身近な「大気汚染」や「金属の分離リサイクル」など、領域は幅広いなと思い、環境問題を様々な角度から学んでいきたいと思い、志望しました。また、東日本大震災を経験して、放射能汚染水が処理できないことをニュースで聞き、汚染物質を除去する技術を学んでみたいと思いました。

新しいテーマへの挑戦。
この研究の第一人者になる。

この学科には、物理・化学専攻の人が多く集まってきますが、実際には、生物の授業もあり、幅広く学べるので、他分野へ興味が出てきた場合も、進んでいけます。学科は大きく、3系統(資源・環境・循環)ありますが、私の場合は、もともと「環境」を学びたいという想いがありました。昨今、カーボンニュートラルと言われることがありますが、「環境」は、もはや企業の活動の全ておいて、切っても切り離せない存在になっています。

私は、「都市大気中農薬の実態解明と個人曝露評価のためのウェラブルサンプラーの開発と健康影響評価について」の研究をしています。大河内研究室では、「農薬」という研究テーマをこれまで扱ったことがありませんでした。厚生労働省で「食品を介した農薬の暴露量」を推定しており、それが基準値の80%を超えないことを確認しているのですが、残り20%の曝露要因が未解明です。それが、食品以外から来ているということなれば、「環境」が注目され、環境のなかでも水や大気という候補が挙がり、それを研究してほしいと、厚生労働省から依頼された背景があります。

大気中の農薬を測るには、実際の健康影響評価を測定するため、都市域と郊外の2拠点から環境の暴露量を調べます。農薬の構造式や性質が全く分からない状態から分析が始まり、検量線や、濃度を求めるために行う実験は再現性が難しいところがたくさんあります。
同じやり方で、同じ試料のはずなのに、違う値になってしまうことや、その抽出の効率など、いろいろな課題が浮き彫りになってきています。農薬はイメージしてもらうと、分かりやすいですが、作物に散布した後に必ずくっついていなければ効果を発揮しないため、逆に言うと、実験で農薬を使うと、器具にも残留したり、洗浄してもまだ残留したりもします。分析機械のパーツや交換方法なども試行錯誤しながら進めています。研究室の中でも、オリジナルな道を進んでいるので、自分がこの研究の第一人者として、国の農薬の残留基準値を変える一躍翼を担っていると思って、それの責任をしっかりとかみしめながら研究を進めています。

知識を新たに吸収する
有意義な時間に

コロナ禍で、2か月ぐらいは、学校に入れない時期がありましたが、僕にとっては、プラスになった時間でした。新規テーマの研究をしているため、誰も知識がない状態で始めましたので、その知識つけるために、違うテーマの先輩方の過去の論文を読んだり、Google Scholarで、関連する論文を世界中から調べて読んでいました。直接関係のない健康影響評価なども、どのような症状が出るのかということを調べ、農薬の基礎的な知識をいろいろと知る時間にあてました。

“ワンチーム”の精神での
研究を大切に。

私は通常、都市の屋上でサンプリングをしていますが、大河内研究室では、自分に全く関係ないフィールドワークでも、みんなで協力してやっていきましょうというワンチームの精神があり、研究の進捗を研究室のメンバーに共有するゼミの時も、質問がとても活発です。横のつながりだけではなく、縦のつながりもあり、先輩とも連絡を取っており、仲良くさせていただいています。論文を読んでいくと、本当に色々なことが得られて、自分とは異なる分野の研究成果や取り組み方法なども、自分の研究分野に活かせるのではないかと思うことが多々あり、そんな時は、道が開けたと感じます。

その他、ゼミでは福島に行き、防護服を着て、汚染水や土壌、葉っぱなどを採取しました。また、富士山の山頂に登ってのサンプリングすることもあります。他の研究室と合同でカンボジアのアンコールワット遺跡に行き、汚染や、その状況調査をしたりしました。フィールドワークはとても楽しい時間です。

SDGsに貢献できるような
研究者になりたい

将来は、日本の発展のために研究開発に携わっていきたいと考えています。専門分野の農薬の研究で進んでいくとすると、人間だけでなく非対称生物や環境にも配慮した安全・安心な優しい農薬の開発にも興味があります。

それ以外の分野であれば、新素材の開発や、今まで専攻してきた分析化学の力を使って、分析機械、微量の分析など、分析機械1つのパーツを替えるだけで再現性が良くなるような、分析機械を扱える分析化学という観点から企業への貢献もしたいなと思っています。最終的には、人々の生活が豊かになって、かつ環境にも優しい、サステイナブルな社会、SDGsに貢献できるような研究者になりたいと思います。

最高の仲間と、将来の日本に
貢献できるような研究を。

この学科は、環境や資源について、すごく深くまで、様々なことを学べる学科だと思います。環境や資源について本気で変えたいと考えている人、その志の高い人たちが集まる素晴らしい学科なので、最高の仲間にも出会えると思います。私自身、一生の友といいますか、仲間に出会えたことがすごく大きかったと実感しています。将来の日本に貢献できるように、これからも研究を続けていきますので、後輩になるみなさんとも、一緒に頑張っていけたらと思います。ぜひ、この学科に入学してください!