VOL.4

“未知の魅力”との出会い

Profile

院生
金井 優里さん

環境資源工学科
修士2年生 栗原研究室

“未知の魅力”との出会い

受験が近づき、将来に対して迷いが生じている中で、この学科のホームページに出逢いました。それまでは、受験したすべての大学で建築学科を選択していたのですが、ホームページに、地球の写真が一つ大きく載っていたのを見て、宇宙や自然環境の壮大さに魅了されていた、小学生の頃の興味が思い返され、直感的にこの学科だと感じました。

また、この学科は他の学科に比べて具体的な勉強内容が見えづらい部分があるのですが、それがむしろ自分の視野を広げるチャンスだと思い、この学科の受験を決意しました。実は受験日まで早稲田大学には足を運んだことがなかったのですが、受験時に大学自体が持つ雰囲気に圧倒され、最終的には第一志望の大学になっていました。

「海外重視」の研究室、
グローバルな発想と思考を養う

この学科では、かなり幅広い分野を学びます。3年生ぐらいから専門的な授業が増えてきて、その中で興味を持った分野を突き詰めるようになりました。それからは、専門分野の勉強や研究、ゼミなど、能動的に知識をつけていく過程がとても楽しいと感じます。

栗原研は、留学生やドクターの数が多く、多様性のある研究室で、常に多くの刺激をもらえています。石油開発業界に直結した研究室ということもあって、中東の学生との交流やアゼルバイジャンの技術者研修開催、海外での研修や学会への参加など、海外を重視しています。石油開発は地質、化学、物理など、理系のさまざまな知識を総合した高度な分野で、この分野を扱う研究室であれば、理系職を目指すにあたって、かなり力をつけられると感じています。そのほか、研究のためにプログラミングでシミュレータを作成したり、授業や活動の中で英語を扱ったりするので、スキルを身に着けることにおいて非常に恵まれた環境だと思っています。

「資源開発」と「環境保全」の
双方を学ぶ

資源開発、特に化石燃料は、世間では環境に悪い、といった良くないイメージを持つ方が多くなっています。ですが、安易に化石燃料の使用をやめればいいというのは少々乱暴な話です。これは、エネルギーの供給と資源開発の技術の重要性から言えることです。
世界全体を見渡してみるとエネルギーが不足していて、未電化地域も残っているような状況です。すべての人が私たちと同じ水準の生活をするため、より発展的で安全な生活をするためにエネルギーは必要とされ続けます。これらを賄うのにコスト面でも効率面でも化石燃料はとびぬけて優秀です。また、多くの人は見落としがちですが、資源開発の技術が環境に対してプラスな側面があります。例えば、二酸化炭素を地下に埋めるCCSという技術や、再生可能エネルギーの一つの地熱発電も、石油開発の分野・技術が必要なものです。資源開発と環境保全の双方の立場を認識して、エネルギーに携われる点がこの学科の魅力だと思います。大学卒業後どの分野に進むとしても、重要な価値観が得られると思います。

学術大会で受賞。AIを使った研究。

私の研究では、これまで地上からは見えない地下の様子を調べるために使用されてきた手法に、AIの技術を組み合わせて、より詳しく地下の様子を知る技術を考えています。石油開発の重要な工程の1つに、地下モデルの作成(貯留層モデリング)というものがありますが、この作業をするためには、地下で資源が存在する場所(貯留層)について調べなくてはいけません。資源生産をするにあたり、地下で資源が存在する場所(貯留層)について調べなくてはいけないことがあります。例えば、その貯留層はどのくらい油やガスをため込むことができるのか、いざ井戸で吸い上げるとき油やガスがどのくらい流れやすい貯留層なのか、などです。これらは莫大なお金をかけて、油・ガスを生産するかどうか判断する基準になったり、需要に見合った量の資源を回収するための計画立てに使ったりします。このように重要な情報なので、高い精度が求められるのですが、地上からは見えない上に巨大な地下のことなので、数本井戸を掘って調べても、対象油田全体の正確な情報を得ることは非常に難しいです。

資源開発においては、少ない点の情報から大きな油田の情報を推定するために、地質統計学という学問を使った技術が成立していますが、条件によっては推定がうまくいきません。この問題を解決する手段として、研究室では、AIを利用した技術を考えてみようとしているのです。また、昨年開催された学術大会でこの研究を発表し、賞を頂くことができました。石油開発業界では、AIを実践的に使用する段階まで来ている例は少なく、まだまだ研究段階ですが、AIはかなり注目されている技術の1つなのだと感じます。専門自体の研究も面白いですが、専門分野に別の分野を結び付けて新しい風を吹き込む面白さは、現在の研究活動のモチベーションになっています。

海外を舞台に、
「本物」になりたい

将来は、国際的に石油開発のサービスを展開する企業で働きます。厳しい環境だと思いますが、専攻で得た知識を活かし、海外の優秀なエンジニアに刺激を受けながら成長していきたいと思っています。そして、経験によって得られた知識は、いずれ日本のエネルギー供給に還元したいと考えています。具体的には、地下をモデル化したり、数値解析したりといった技術やビジネスを、石油・天然ガス開発のみならず地熱や地震など日本ならではの課題に結び付けて貢献できたらいいなと考えています。

自分の“理科好き”の原点へ

私は、小学生のころから理科が好きだったのですが、受験勉強の理科は、興味を持ったものを追求する感覚とは少し違うと感じていました。そういう意味では、大学の勉強、特に研究では、自分が調べたい対象があって実験・調査・計算をしたり、知識をつけたりするので、かなり能動的で、以前よりやりがいを感じることが多いです。

また、この学科は、幅広い分野を扱っていますし、対象のスケールが非常に大きいと思います。例えば、資源の分野では地球に穴をあけて、といったことが必要ですし、環境についても地球全体に関わることです。鉱物や素材に関してもすべてではないですが、宇宙の話が絡んできたことがあります。このようにスケールに広がりのある学科は、他学科にはなかなかないと思うので、好奇心が強い方にはとても向いていると思います。学科の勉強だけでなく、学生生活の面でも早稲田大学をお勧めできます。例えば、自分のやりたいことを追求するのにはもってこいな環境です。人数が多いこともあり、かなり多種多様な人が存在しますし、興味の対象も様々です。サークル数は日本一だとも言われています。それぞれの学生が熱中する何かを持っているので、そんな校風も魅力だと思います。