VOL.5

環境問題の解決に
幅広く貢献できる人間になりたい。

Profile

院生
石田 紗菜さん

環境資源工学科
修士2年生 所研究室

環境問題の解決に
幅広く貢献できる人間になりたい。

「食品ロス」の問題を中学生のときに知り、環境問題に興味を持ちました。食品が余っている地域もあれば、飢餓で苦しんでいるような足りない地域もあり、その不平等さや不公平さを不満に思い、どうにか解決できないかと思っていました。食品ロスを解決する方法の一つとして、捨ててしまう食材や、賞味期限の切れた食材を回収してきて、それらだけを使って料理を作るという方法があることをテレビ番組を通して知りました。それを機に、まだ使える資源を捨てずに生かすということを社会全体にももっと広げていけないかと考えるようになりました。

「食品ロス」だけではなく、もっと幅広く環境問題に対して解決できるような知識や技術を大学で身につけたいと思いました。さらに、その技術を将来の社会に広められるという点が魅力に感じたので本学科を選びました。

環境負荷を低くして限りある資源を
持続的に利用していく難しさと、面白さ。

環境資源工学科は、「環境」という言葉が先頭に来ていますが、どちらかというと対象にしているものは「資源」です。金属や石油、天然ガスなどの限りある天然資源を持続的に利用していくためには、どのように「探して」、「作って」、「使って」、「処理する」のか、この4つのプロセスを技術的に改善し、環境負荷を下げる方法を学び、生み出す学科です。

高校生のときは、「資源を持続可能に利用していくためには?」と聞かれても、再生可能エネルギーの利用やリユース・リデュース・リサイクル(3R)の推進をすれば解決できると思っていました。ですが実際には、資源を探して、掘り出して、生産して、処理する過程でも環境負荷が生じていて、総合的に改善しなければ解決できないという点が、難しくもあり、面白い分野だと思います。

研究だけではない、
自分自身が成長できる環境。

所先生は女性研究者として、環境処理工学の分野で若くから活躍されている点がかっこよく、刺激を受けたいと思いこの研究室を志望しました。所研究室では、「探して」、「作って」、「使って」、「処理する」の4つのプロセスのうち、「処理する」に関する研究テーマに多く取り組んでいます。「処理する」プロセスでは、例えば、リサイクルができたとしても、従来の方法と比べてCO2の排出量が増えてしまったり、消費電力が大きくなってしまったりしては、総合的には環境負荷が下がったとは言い難いため、まだまだ改善していかなければならないという意味で社会的に求められる役割は大きいと思います。

私は、銅鉱石から銅を回収する際の環境負荷を下げる技術開発のための基礎研究を行っています。銅鉱石には銅だけでなく不純物も多く含まれていて、銅を回収するためには不純物を分離する必要があります。現在は不純物を分離するときに薬剤を加えているのですが、この時の環境負荷が高いことが問題となっています。そこで、海水中に含まれる成分を代用することで、薬剤を加えることなく不純物を分離することができるようになり、環境負荷を下げることができるのではないかというアプローチで研究を進めています。この研究テーマを選んだ理由は、まだ使われていない自然のものを生かしていくという点が面白く魅力に感じたからです。

所研究室には留学生の方も多く所属しているため、英語の勉強の場としても成長できる環境です。私は中国人の博士課程の留学生の方と一緒に研究しているので、日常的に英語でのコミュニケーションをとるようになりました。また、学会発表の機会も多く設けていただきました。学会で発表する度に手厚くご指導いただき、どのように資料を作り発表したら、相手に伝わりやすいのかを学ぶことができました。学会発表を経て得られた力は、社会に出てからも生かすことができると思うので、学生のうちに経験できて良かったと思っています。

世界が求める、
資源効率の高いモノづくりの
重要性。

大学生活を通して、世界的に資源効率の高いモノづくりが求められていることを学びました。中でも、様々な業界の企業のOBの方が来校されて、資源利用のための技術やプロセスを実務経験をもとに説明してくださる授業が印象に残っています。資源利用プロセスにおける最先端の環境負荷低減技術を知ることで、自分が学んできたことを実際に社会でどのように生かしていくことができるのかをイメージすることができました。

さらに、就職活動を通して、どのような業界でもSDGsやESGを意識した経営が求められていて、「環境」という観点を無視できない状況になってきているということを実感しました。

近い将来、利益だけを求める時代ではなく、環境面の改善と利益の追求の両立ができなければ認められない時代が来ると思います。この学科で学んできた環境資源分野の知識は、今後大きな強みになると実感しています。

学んできたことを、
就職先で実用へ。

もともと食品ロスに興味があったので、学んできたことを活かして食品メーカーや飲料メーカーで環境負荷の低減に携わりたいという思いがあり、飲料部門において、環境に力を入れている企業から内定を頂きました。

美味しさを保ちながら、飲料の製造・輸送・処理などの各工程の環境負荷を下げること、飲料容器を処理しやすい素材・形状にしていくことなど、環境と美味しさを両立した飲料づくりをこの会社で実現したいです。

環境問題を扱う
サークル活動で成功体験。

環境ロドリゲスという団体に3年生まで入っていました。環境問題を様々なアプローチで解決していこうという団体なのですが、その中で、「環境×商品開発」のグループに所属しており、廃材を生かして商品化し、販売するということをやっていました。

特に印象に残っているのは、宮城県南三陸町にある水産加工会社と共同開発した、食廃材であるめかぶの粘液を用いためかぶスムージーです。めかぶを商品にするときに粘液を捨ててしまうのですが、粘液の栄養価や美容成分の高さを生かし、スムージーに混ぜることで美味しい商品を作ることができました。私の代では現地のお祭りでの試飲会の開催までしか達成できなかったのですが、その翌年に後輩たちが現地のお祭りでの販売を達成してくれたのがとても嬉しかった思い出です。

環境問題を、
“みんな”で解決していこう。

大学生は人生の中でも、自分の好きなこと・興味のあることに最も自由に時間を費やせる時期だと思います。大学は、自分の興味を深めていく場所なので、高校生のうちに好きなこと・興味のあることを見つけて、悔いのない大学生活を送って欲しいです。

すごくかっこつけて言えば、この学科は「環境問題をみんなで解決していこう!」という雰囲気があります。

この学科に興味を持ってくれた子には、ぜひここで楽しい時間を過ごしてほしいです。"みんなで"環境問題を解決していきましょう。