東洋医学には、「未病」という言葉があります。症状が軽いうちに異常を見つけて病気を予防するという考え方です。環境問題も同じで、問題として顕在化してから原因を特定し、取り除く後追い対策では、膨大な時間、莫大な対策費用、環境質の劣化というムダが生じます。目に見えない環境リスクをあらかじめ予測できないか？環境問題と認識してから対応するのではなく、未病の段階で対策をとることが求められています。

環境汚染物質の存在量と地球表層における循環過程を明らかにし、環境やヒトに対する影響を解明。

研究テーマの一例を挙げると、
●富士山を用いた越境大気汚染および地球大気環境監視
（Global Atmosphere Watch）
●大気中マイクロプラスチック(Airborne Microplastics; AMPs)の実態と健康影響
●ゲリラ豪雨、山間部豪雨形成に対する温暖化と大気汚染の相乗影響
また、渓流水質に基づく山間部森林生態系の健全性評価、放射性物質によって汚染された福島里山再生、大気中農薬による曝露評価、カンボジア・アンコール遺跡群への大気汚染影響などもテーマの一つです。地域および地球環境と向き合い、環境問題の早期発見、早期解決に貢献できる“アースドクター”として、様々な研究に取り組んでいます。

研究はフィールド調査・環境分析・データ解析が三本柱。フィールド調査では大変なことも多いですが、得られたデータを解析し、いま何が起きているのかを読み解くのが研究の醍醐味。地球（ガイア）が訴える声なき声を聞き、メッセージを読み解いた時の喜びは格別です。フィールド調査では様々な楽しみやご褒美も。都会の喧騒から離れ、新緑や紅葉に癒され、野生生物との出会いで心が和み、満天の星空やご来光に心奪われます。温泉でフィールド調査の疲れを癒し、現地の美味しい食物と地酒をいただきながら友と語らう経験を、ぜひ一緒に。

環境研究では現場を知ることが大切です。「現場百編」という言葉があるように、研究室でパソコンの画面だけを見ていても真実はわかりません。野外研究は大変ですが、仲間と協力して大変さを分かち合えば“絆”も深まります。“チームワーク（責任と思いやり）を大切に、研究も遊びも一生懸命！”が当研究室のモットー。化学が好きな人、美しい自然を守りたい人、アウトドアが好きな人はぜひ当研究室に来てください。OB＆OG会も毎年開催し、 “絆”を大切にしています。