
環境資源修復工学研究室
資源から素材へ、
素材から資源へ。
一次資源の開発技術の深化とグリーントランスフォーメーションへの貢献
循環系
環境資源修復工学研究室
資源から素材へ、
素材から資源へ。
一次資源の開発技術の深化とグリーントランスフォーメーションへの貢献
環境資源修復工学研究室
SASAKI KEIKO
笹木 圭子 教授
ISSUE
課題
開発されずに眠る金。抽出するには?
金鉱石から金を取り出すには、金シアン錯体を形成しながら金を抽出する方法が一般的ですが、金鉱石の中に有機炭素が混ざっている炭素質金鉱石の場合、抽出が妨げられます。このような金鉱石は五大陸に渡って点在しながら開発されていません。一方で、シアンの猛毒性からこれに代わる環境負荷の少ない抽出剤の開発も課題となっています。
鉄鋼技術と脱炭素社会。両立するには?
鉄は産業に不可欠なベースメタルで、日本の鉄鋼技術は世界に誇る技術のひとつですが、CO2 排出量が大きいことが深刻な課題です。鉄鋼業界では鉄鉱石の還元剤であるコークスを段階的に水素に切り替えるべく、さまざまな革新的技術にチャレンジし、脱炭素社会の構築を実現しようとしています。
MISSION
使命
研究テーマは、
低環境負荷型未利用金属資源精製のためのプロセス開発と、金属製錬廃棄物のグリーントランスフォーメーション。
偏在する金の開発を可能に。廃棄物をクリーンに。
[金]
金は優れた延性、安定性を持つ機能的価値のほか貨幣的価値をもつ特別な金属で、金相場は上昇し続けています。天然金資源は特定の国に偏在している一方で技術的な理由から開発対象とできないものがあり、当研究室ではこれを紐解き、バイオや化学の力で可能にしようとしています。
[鉄鋼]
大量に副生される均質な鉄鋼スラグから光触媒複合体を合成し、水素生成反応、グルコースから乳酸への転換、有機汚染物質の分解などグリーントランスフォーメーションに貢献する機能材料を開発しています。
INTEREST
オモシロイ
環境負荷を抑え、経済成長「二兎を追え」
[金]
バイオテクノロジーは、環境負荷を抑えながら、資源供給量を最大限伸ばし経済を成長させる「二兎を追うこと」を可能にする技術とされています。これを金属資源の分野でも実現できることを例示したいと思います。
[鉄鋼]
材料でないものが材料と複合化することにより、材料本来の機能を増強し、クリーンエネルギーである水素の生成などグリーントランスフォーメーションを起こすことが期待できます。
トピックスtopics
[金]
●炭素質金鉱石のリグニン分解酵素により炭素質を変質させ、シアン化金錯体の吸着損失を減じた。
●また、リグニン分解酵素系に電子メディエーターを導入し、固体基質に対して最適化した。
●さらに、シアン抽出を見直し、低環境負荷かつ金と錯形成しやすく、炭素質に親和性の乏しい薬剤を見出した。
[鉄鋼]
●鉄鋼スラグの主成分である Ca を利用し Fe ドープ型ハイドロキシアパタイトを合成、TiO2 と複合化し、可視光応答型水素生成光触媒として性能評価した。
●また、主成分である Ca を利用し窒化炭素と複合化、グルコースから乳酸への転換率の増大を明らかにした。
WISH
想い
社会へ踏み出す、歴史に名を刻む。
真理の探求に邁進する好奇心と純粋さは、研究者・技術者として、さらに人間として成長する大きな原動力になります。研究を通して、論理的思考力を鍛錬し、大小によらず手ごたえのある独自の成果を掴み、自信を社会へ踏み出す力強い一歩につなげてほしいと思います。修士課程まで進学する人は、国際学会の舞台を踏み、論文を投稿し、共同研究者として科学技術の歴史に自分の名前を刻むことが十分実現可能です。
フィールドfield
(学外)放射光実験施設
(学内)物性計測センター、材料技術研究所
イベントevent
(学外)国内学会、国際学会、他大学訪問、企業訪問 など
(研究室行事)歓迎会、送別会 など