環境資源工学科とは

自然環境と調和した持続可能な
地球資源システムの創造

かつて地球は人類にとって無限の大きさをもっていました。ところが今、人類は地球に深刻な影響をもたらす存在へと変貌しています。 文明社会の発展にともない、人類は温暖化、砂漠化、海水面上昇、異常気象、森林破壊、生物種の絶滅、オゾン層破壊、有害物質による汚染など、様々な環境問題を地球に引き起こしました。 また、現代の都市生活を支えている鉱物資源やエネルギー資源をこのままのペースで人類が消費し続ければ、近い将来、天然資源が枯渇の危機に直面することに疑う余地はありません。 環境問題と資源枯渇の危機を回避するための技術と方策を確立することが、人類に課せられた急務です。

地球の有限な資源量や環境容量を考えると、資源の消費削減や節約だけでは、将来、長きにわたって活用することはできません。 地球を一つの有限なシステムとして理解し、すべての資源を無駄なく循環させる「地球資源システム」を創造することが重要です。もちろん、そのシステムを持続可能なものにするためには、自然環境と調和したものにしなければなりません。

環境資源工学科は「自然環境と調和した持続可能な地球資源システム」の創造を目指しています。

地球資源・自然環境の存続のために学ぶ
「4系列」

資源系

花崗岩類に伴った熱水性金属鉱床の生成環境の解明および岩石学の応用として石造文化財の研究を行っています。また、未利用資源鉱物からの新素材の創製研究を行っています。

キーワードkeyword

金属資源、岩石・鉱物資源、石造文化財、岩石・鉱物―熱水間相互作用、機能性無機素材、次世代建設用原材料

この研究はこんなことに役立っている

ー 熱水性金属鉱床の探査に有用となる地化学的情報の提供

ー 掛け替えのない文化財の保存への貢献

ー 未利用資源鉱物の供給と機能性素材製造の実用化への貢献

開発系

鉱物・金属資源や石油・天然ガス・地熱などのエネルギー資源の探査・開発・生産・評価技術を学び、環境と調和した持続的な地下資源開発や地下利用のための研究に取り組んでいます。

キーワードkeyword

物理探査、物理検層、掘削、ジオメカニクス、貯留層評価、貯留層モデリング、数値シミュレーション、プログラミング、機械学習、石油、天然ガス、メタンハイドレート、地熱、増進回収(EOR)、CCS(CCUS)、地震・防災

この研究はこんなことに役立っている

ー 【持続可能社会の形成】
資源・環境・インフラ・防災等に関する地下情報の可視化

ー 【エネルギー安全保障】
石油、天然ガス、地熱などの貯留層評価と生産性・回収率の向上

ー 【地球環境保全】
二酸化炭素の地下圧入・貯留と地下環境の維持・改善

循環系

鉱物資源や使用済みの製品から有価な未利用資源を分離・回収する革新的分離技術を開発し、持続可能型社会へ貢献するための研究をしています。

キーワードkeyword

リサイクル、サーキュラーエコノミー、物理選別、分離精製、金属製錬、環境修復、環境浄化、廃水処理、ライフサイクルアセスメント

この研究はこんなことに役立っている

ー 小型家電廃棄物から「都市鉱山メダル」を製造し,東京オリンピック・パラリンピックにて授与

ー カーボンニュートラルに寄与するリチウムイオン電池や太陽光パネルの高度リサイクルプロセスを提案

ー 鉱山廃水や工業廃水から有害イオンを高効率に処理したり回収するプロセスを提案

ー EVモータからのレアアースと排気ガス浄化触媒からの貴金属の回収プロセスを開発

環境系

環境診断、環境破壊の履歴調査、有害化学物質の計測・評価、最終処分場管理などの手法を学び、環境の保全・改善のための研究を行います。

キーワードkeyword

物質循環、気候変動、自然災害、越境汚染、労働衛生、作業環境、廃棄物管理、災害復興、環境・健康リスク,マイクロプラスチック

この研究はこんなことに役立っている

ー 人間環境の持続的発展へのデータ提供と提言!

ー 環境汚染の実態を可視化して、環境問題の早期発見!

ー 有害化学物質による事故や障害を未然に防ぐ

研究フィールドは地球全体。
だから全世界で活躍できる

資源枯渇と環境破壊の危機は世界的な課題です。この難題に挑むため、環境資源工学科の卒業生は、日本国内のみならず、世界中で活躍しています。 上は空中や富士山から、下は地下・海底まで。都市にある工場・廃棄物処理場から、山深い、あるいは砂漠・原野の鉱山、採掘場まで。 カンボジアの石造遺跡から海上の石油プラントからまで。フィールドは地球全体に広がっています。海外の大学・研究機関や企業との共同研究も盛んです。

環境資源工学科では、岩石・鉱物資源やエネルギー資源の生成過程から、資源探査・開発、新素材の創製や循環処理・リサイクル、そして、環境の保全・改善まで、一貫して学べます。 資源開発と環境保護を対立的に考えるのではなく、深く相互に関連し合っているととらえ、いずれかに偏ることはありません。資源開発と環境保全をバランス良く学べるのが環境資源工学科の特徴です。

カリキュラム

カリキュラム

大学院(地球・環境資源理工学専攻)

4 【専門選択】
有機化学
地震探査工学
廃棄物管理工学
【専門必修科目】 卒業論文
3 【専門選択】
素材機器分析評価 実務研修 水理学 数理統計学
資源地球科学 地圏流体力学 岩盤力学 数値岩盤工学 地圏物理探査工学 油層シミュレーション 油層工学の基礎
素材物理化学A 粉体制御工学 素材物理化学B 資源分離工学 素材物質化学 資源リサイクリング 金属生産工学 環境界面工学 金属材料学 化学工学総論
環境地質学 地球物質循環化学 環境地球化学 同位体環境学 環境リスク工学 環境水質工学 労働衛生工学 海洋地球環境学
【専門必修科目(選択専門必修科目)】
応用数学及び演習 応用物理化学及び演習A 環境資源工学実験A 環境資源工学実験B 地殻情報工学及び演習*
応用物理化学及び演習B*
*地殻情報工学及び演習と応用物理化学及び演習Bは、いずれか1科目が必修科目となります。
2 【専門選択】
化学統計力学環境機器分析
地殻情報工学の基礎 ジオインフォマティクス 石油・天然ガス開発技術の最先端 鉱物資源開発技術の最先端
環境研究の実践と国際協力
【専門必修科目】
環境保全工学概論 資源循環工学概論 開発環境工学概論 地殻情報工学概論 素材プロセス工学概論
化学熱力学 材料力学B 電磁気学A 電磁気学B 地球物質科学 環境資源経済論 無機分析化学実験 地球科学実験A 地球科学実験B
1 【専門必修科目】
創造理工リテラシ一 環境資源工学の展望 地球科学A 地球科学B 環境資源と社会
4
【専門選択】
有機化学
地震探査工学
廃棄物管理工学
【専門必修科目】 卒業論文
3
【専門選択】
素材機器分析評価 実務研修 水理学 数理統計学
資源地球科学 地圏流体力学 岩盤力学 数値岩盤工学 地圏物理探査工学 油層シミュレーション 油層工学の基礎
素材物理化学A 粉体制御工学 素材物理化学B 資源分離工学 素材物質化学 資源リサイクリング 金属生産工学 環境界面工学 金属材料学 化学工学総論
環境地質学 地球物質循環化学 環境地球化学 同位体環境学 環境リスク工学 環境水質工学 労働衛生工学 海洋地球環境学
【専門必修科目(選択専門必修科目)】
応用数学及び演習 応用物理化学及び演習A 環境資源工学実験A 環境資源工学実験B 地殻情報工学及び演習*
応用物理化学及び演習B*
*地殻情報工学及び演習と応用物理化学及び演習Bは、いずれか1科目が必修科目となります。
2
【専門選択】
化学統計力学環境機器分析
地殻情報工学の基礎 ジオインフォマティクス 石油・天然ガス開発技術の最先端 鉱物資源開発技術の最先端
環境研究の実践と国際協力
【専門必修科目】
環境保全工学概論 資源循環工学概論 開発環境工学概論 地殻情報工学概論 素材プロセス工学概論
化学熱力学 材料力学B 電磁気学A 電磁気学B 地球物質科学 環境資源経済論 無機分析化学実験 地球科学実験A 地球科学実験B
1
【専門必修科目】
創造理工リテラシ一 環境資源工学の展望 地球科学A 地球科学B 環境資源と社会

カリキュラム概要

1・2年次では、物理学、化学、数学、ITを中心とする自然科学教育と、理工系技術者・研究者になるために求められる人文社会学的な教養教育が主に行われます。英語も必修科目です。その一方で、 1年次から専門科目が設置され、専門分野をいち早く学べるため、より具体的に研究生活をイメージすることができます。2年次からは、各専門分野の概論とともに、専門実験を行います。より実践的な能力の習得が可能です。 3年次には各分野に関連した学問の概要を学び、研究室に入るための準備を行います。

4年次には、いずれかの研究室に所属し、1年間研究活動を行い、その成果を「卒業論文」にまとめます。「卒業論文」は、いわば4年間の学部生活の集大成です。

大学院修士課程では、より専門的な授業で修士に必要な知識を身につける一方、各研究室で教員から研究指導を受けます。なお、環境資源工学科の学生の7割以上が修士課程に進学しています。